11/08/18 北海道ツーリング5日目 苫前から士別

8/18(木) 曇 苫前-古丹別-霧立峠-朱鞠内湖-士別 114km ルート図

(文:高森千穂)
 今日は海を離れ、内陸部の士別を目指す。
 数日前、浜益と羽幌の旅館の女将さんに「稚内まで行くのか?」と聞かれ、「いえ、羽幌から士別へ」と答えると、二人とも「は? 士別?」といった反応だった。オロロンラインを北上するサイクリストは、ほぼ皆、稚内をめざすらしい。実は、稚内への道は、遠別から豊富まで走り残しているのだが、この未走破路線はいずれ、ということで、今回は内陸部へ進む。
 士別へ出るには、苫前町の奥地、霧立峠380メートルを越える。昨日見た「苫前町郷土資料館」によると、霧立地区にもかつては小学校があったとのこと。けれども今は、国道239号は、今回の旅行でもっともひとけのない、もっとも熊に遭遇しそうな個所である。
 天候は曇。ときどき日の射すうす曇りで、雨が降ることはなさそうだ。曇り空だと景色はイマイチに見えるが、走るにはベストな天候だ。
 初日からずっと旅をともにした海に別れを告げ、まずは古丹別へ。昨日から数えて三度目のセイコーマートへ寄る。霧立峠を下って、幌加内町の添牛内に蕎麦屋があることはわかっていたが、到着が遅くなった場合とか、蕎麦屋が休みのことを危惧して、昼食のおにぎりを二つずつ買う。
 古丹別の集落から、20キロ圏内までは田んぼや畑が広がっている。苫前町は、本当に穀倉地帯なのだと改めて思う。今年の秋は、新米の苫前米を注文しなきゃと思った。
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 穀倉地を離れると、国道は山岳地帯へ突入する。少し上るとまた少し下がってと、なかなか標高が上がらない。しかも高山の雰囲気となり、進んでも進んでも景色があまり変わらない。さらに交通量が少ない国道で、車やバイクを見かけるのは10分に1台程度。昨日よりも、よっぽど熊に遭遇しそうな雰囲気だ。
 じわじわと高度をあげ、12時過ぎに霧立峠に到着。見晴らしもたいしてなく、何もない峠だった。この調子ならば、添牛内の蕎麦屋へ行けそうだが、ちょっとお腹がすいてきたのでおにぎりを一つ食べる。
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 8キロほど峠を下り、添牛内の集落に到着。集落というほど民家もないが、かつて通っていた深名線の跡が見られた。
 深名線は、朱鞠内湖のダムを造るための鉄道で、かつ豪雪過疎地帯で、現役時代から列車本数が極端に少なかった。けれども代替道路がないということで、赤字路線にしては廃線はかなり遅かった路線だ。それでも廃線後20年過ぎて、もはやここに鉄道が通っていたなど信じがたいほどのさびしさだ。添牛内駅は、農作業の小屋として使われており、かつて駅であったとは信じられないありさまだ。
 さて、目指していた蕎麦屋「霧立亭」は、旧添牛内駅の向かい側、旧添牛内郵便局である。(郵便局が機能しないほどさびれた集落になってしまったということだ)ちゃんと営業していたので昼食とする。
 幌加内といえば、なんといっても「蕎麦」である。蕎麦の作付面積日本一の町なのだから。かつて深名線の車窓から見た、どこまでも広がる蕎麦畑が、とても印象に深い地だ。その幌加内で蕎麦屋に入れるとは感慨深い。
 「霧立亭」には、地元の会社員と思われる人が1人、バイク客が3人が先客としており、さらにバイク客が2人入ってきた。「人気の蕎麦屋」というだけに、にぎわっている。冷やしたぬき蕎麦ともり蕎麦を注文、幌加内蕎麦をありがたくいただく。お土産用の蕎麦も用意されていたので、実家の両親や、職場で仕事を代行してくれている後輩のために購入。いいお土産を買うことができた。
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 さて、当初の予定では、このまま国道239号を進み、士別に入るつもりだった。しかし、食事を終えてもまだ13時。思ったよりも時刻が早く、あと25キロで士別では、時間があまってしまう。さらに、せっかく幌加内町に来たのに、すぐに抜けるのはもったいないし、20年以上前に深名線で訪れたきりの朱鞠内湖が、ほんの10キロ先にあるのだ。ぜひ、朱鞠内湖を見てみたい。なかなか訪れることの難しい地だし、ということで、朱鞠内湖経由で士別へ行くことにする。
 このルートだとあと50キロ走らねばならず、すでに60キロ走っているから、トータル110キロを越えてしまうが、「がんばろう」ということになった。
 急遽ルートを調べ、朱鞠内湖まで国道275号を進み、その後、道道729号で風連を経由して、士別へ向かうことにした。最短ルートとしては、道道251号があったが、道が少し険しそうなので、距離はかかるが、風連経由を選択した。
 国道239号以上に交通量の少ない国道275号は、一面蕎麦畑で、これもまた北海道らしい風景の一つである。途中、かつて深名線の駅があった集落も、ほとんどが廃屋となり、朱鞠内の集落でさえも、ひっそりしている。駅跡のバスターミナルが妙に立派で、乗客ゼロのJRバスがやって来て、乗客を一人も乗せずに走り去っていく。寒さの厳しいこの地、人口の流出が激しいのだろうか。
 さて、朱鞠内湖は、前述のとおりダム湖、人造湖である。しかも、戦時中にできたもので、「出る」ということで有名である。湖は整備されており、立派なキャンプ場もあるのだが、ひと気がなくとにかくさびしい。戦時中の朝鮮強制労働の暗い歴史もあり、またそんな暗い歴史を象徴するような慰霊碑や、ハングルの石碑が建っており、その雰囲気が敬遠されるのだろうか。
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 さびしい湖をながめたあと、いったん朱鞠内の集落にもどり、国道275号を母子里(国内最低温度・マイナス41度を記録した地)方面へ向かう。ますます交通量は減り、もはや車もバイクもほとんどいない。国道はやや高度の高いところをとおっており、朱鞠内湖や一面の蕎麦畑を木々の間からながめることもできる、なかなかよい道なのだが。
 風連へ抜ける道道729号も、まるで交通量がない。風連町は広大な穀倉地。田んぼや畑を貫く道道をいくつも乗りついで、士別の町まで走った。
 今日の宿は、士別の町はずれの公共の宿「士別in翠月」 実業団の合宿に力を入れている宿、プラス、地元の人のための日帰りトロン温泉で、温泉の休憩所には、野口みずきのサインがあった。
 また、あちこちの陸上合宿の人がお風呂に入りに来ており、宿泊客は少ないながらも、にぎわっていた。コインランドリーは、なんと、10台も設置されていた。
 安くて豪華な夕食をとって、昨日、苫前町郷土資料館のおばちゃんと約束したとおり、「アンビリーバボー」で、三毛別羆事件の短いドラマを見た。
 この日は結局、114キロ走った。
 それほど苦にもならず走れたのは、曇り空で涼しかったのと、国道も道道もほとんど車が走っていなかったことに起因すると思う。
 閑散とした国道、および道道ばかりを乗り継ぐツーリングを企画すると、楽しいかもしれない、と思った。
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