08/08/16 北海道ツーリング8日目

8/16(土) 遠軽-丸瀬布-白滝-北見峠-上川駅・・・北日ノ出駅-旭川空港 晴一時雨 99km 地図
(文:千穂 補足:呼人)
 北海道ツーリングもいよいよ最終日。旭川空港から、夜遅い便で帰宅する予定だ。長かったようで、走り始めると意外と短かったなあと感じるのはいつものことである。ここまでですでに617キロ走っている。本日で700キロ越えそうだ。これはもちろん、今までで最長距離だ。
 今日は北見峠850メートル越えがあるし、最終日なので、いらない荷物を宅急便で送ることにする。7時の朝ごはんのあと、市街のセイコーマートまで1キロほど走って、荷物を出しに行った。
 7時45分に宿を出発。しまださん・ロボさんに別れをつげて、丸瀬布目指す。早朝は霧雨にけむっていたが、出発する頃には雨はやみ、やがて雲が切れて、青空が顔を出し始めた。「やった、今日は晴れだ! 久々に!」と嬉しくなる。

 遠軽の街を抜け、北見方面に進む国道242号線から分かれて国道333号線に入り、湧別川を右にしてまずは丸瀬布に行く。
 丸瀬布は遠軽よりも約100メートル標高が高い。瀬戸瀬駅を経由して、ゆるゆると上っていって、丸瀬布の街に入る頃には良い天気になっていた。市街はとても静かで、丸瀬布駅は図書館を併設していた。

 道の駅「まるせっぷ」の木芸館で恒例のスタンプとマグネットをゲット。 丸瀬布はかつては独立した町だったが、今は遠軽町と合併している。けれども道の駅「まるせっぷ」には、旧丸瀬布町のマグネットも「旧カントリーサイン」として売られていて、こちらもゲットした。
 駅の道の先で旭川紋別自動車道の丸瀬布ICがあり、ほとんどの車は無料の自動車道に行くため、ここから先は交通量が少なくなった。
 本日のルートは国道333号沿いにひたすら走る。333号は石北本線に寄り添っている。石北本線では、旧丸瀬布町を過ぎると、旧白滝村(遠軽町に合併)に入り、駅名も「白滝」シリーズが続く。この「白滝」がつく駅名は、特急列車はもちろんのこと、各駅停車ですら止まらないことで有名。まずは最初の下白滝駅へ寄る。

 下白滝駅前には大きな牧場があって、小牛が箱の中でたくさん飼育されていた。子牛を守るためか、五、六匹の犬がワンワン吠えながら飛び出してきて、私たちを取り囲んだ。「怖い!」と思ったが、私たちが危害を加えないことがわかったのか、すぐに犬たちは静かになり、無事に駅舎までたどりつくことができた。
 下白滝駅を利用するのはこの牧場の人たちだけではないか。というわけで、停車する列車は、下り1本、上り3本のみである。いわゆる「秘境駅」(←都会人が地方を卑下したような言い方で、私としてはあまり好きな言葉じゃないのだが)である。秘境駅を訪ねてくる人が多いらしく、駅舎にはノートが置かれていた。

 続く駅は旧白滝駅。下白滝駅と同じような感じだが、まだこちらにはまわりに数軒、農家や牧場がある。ちょうどここで、下りの特急「オホーツク」が通り過ぎたので、駅とともに記念撮影をした。

 白滝駅付近では、雨雲が頭上にやってきて、バラバラっと雨に降られた。すぐに止んでまた日が昇ったので、濡れた衣服はあっという間にかわいてしまったが。この日は、晴れていたかと思うと、急に曇り、時々、大粒の雨が数分降る、という不安定な天気が続いた。

 R333からいったん白滝駅に迂回する。旧白滝村の中心となる駅のため、駅舎も少し大きく、止まる列車も若干多い。ちょうど、上りの各駅停車がやってきたところで、駅から乗る人も数人、車内にもそれなりにお客さんが乗っていた。大半は鉄道ファンのように見えたが。
 けれども、町の中心は国道沿いに移ってしまったのか、白滝駅前はどの店もほとんどシャッターが下りている。20年ぐらい前までは、北海道では、駅を中心に集落があり、駅に行けばとりあえず何か食べる物を手に入れることができたものだが、もはや駅にはそういう役割はなくなってしまったようだ。時代は変わったとしみじみ。

 白滝の街の先からの国道333号線は、ますます車は少なくなる。道はまっすぐで広くて気持ちいいのだが、向かい風が強くなってきて時速10km位で進む。
 白滝駅の次の上白滝駅は究極の「秘境駅」。なにせ、一日、たった一往復しか列車が止まらないのだから。上りは朝に1本、下りは夕方に一本。間違いなく、日本一使いにくい駅だろう。ここの駅舎にもノートが置かれていて、直近の書き込みは、60年前にこの地に入植した人(今は関西在住)のものだった。「一日一往復なんて悲しすぎる」と書かれていた。

 上白滝で標高は400mを越える、道の両側は原野の雰囲気に包まれてきた。

 上白滝駅の隣は奥白滝駅。ただし、この駅は廃駅である。かつては集落があったのだが、今は住民がだれもいなくなったため、駅として機能しなくなったためだ。駅は信号所としてまだ活用されているが、駅舎もプラットホームも荒れ放題、しかも駅前にあるのは牧草地だけ。駅近くに建てられた「開拓記念碑」が、なんだか悲しかった。

 奥白滝駅の少し先で、道の駅「しらたき」へ寄り道。国道を左折し、石北本線の踏み切りを渡ってしばらく上って道の駅へ。ここは、「旭川紋別自動車道(高速)」のSAとの併設の道の駅である。そのため、小さい道の駅は混雑していて、レストランも混んでいたので、屋台で鹿肉ソーセージ、鹿肉コロッケ、かぼちゃだんごを買って、簡単に昼食を済ませた。もちろん、スタンプとマグネットも忘れてはいない。ここにも旧白滝村のマグネットが売られていた。

 さて、道の駅で標高520メートル。ゆるゆるゆるゆるといつのまにかここまでのぼってきたが、北見峠まではあと300メートル。「旭川紋別自動車道」は、一部区間が未開通のため、今のところ無料であるため、ほとんどの車が自動車道に入っているようだ。そのため国道333号は、ほとんど車の姿はなく自転車としては快適な道だった。自動車道が全通したら、どうなるのだろうか。
 北見峠の山が目前に迫ってきた。石北本線は石北トンネル 自動車道は北大雪トンネルで北見峠を抜けていく。国道333号はここから九折で山を上っていく。

 北海道北部での標高500メートル超えというのは、本州でいうとかなり「高山」の雰囲気になる。なので、道の駅から北見峠までは、高山を走っているような気分だった。北見峠自体はどこが本当の峠なのかよくわからなかった。白樺林の中に見えた「北見峠」の看板のあった場所が標高では最高地点だった。もう少し先に広い駐車場が、かつての北見峠で訪れる車も多かったのだろう。売店もあったようだ。

 北見峠を過ぎるとあとは下り一方。石北本線は、本日輪行予定の上川駅まで、廃駅が続く。上越駅跡は、国道からだいぶ離れていたのでパス。

 次の中越駅跡は、ライダーが見学をしていた。

 天幕駅跡は木々の向こうに見えていたが、接続する道路が線路の向こう側にあって、立ち寄るためには往復2kmほど行かなければ行けなかったのでここもパスした。
 いずれの駅も、かつては集落があったから作られたものなのだが、今は家一軒ない。なぜこの地域は、みな、離植してしまったのだろう。
 天幕駅跡を過ぎたところで、突然大雨に降られる。ゴールの上川駅まであとたった4.5キロなのに!しかも雨宿りをするような場所も全くなく、ずぶぬれになりながら走るしかなかった。寒さよけにゴアテックスの上着を着ていたので上半身は大丈夫だったが、ズボンはびしょびしょ。しかも、今日は飛行機に乗るからと短パンではなかったため、太ももにベッタリとはりつき、気持悪いし走りにくいしで、最悪の気分。

 けれども10分ほどで雨雲は去り、さっきまでの大雨が嘘のように太陽が顔を出し、川のように濡れた道路からはもうもうと湯気が立ち上り、不思議な幻想的な風景となった。
 と、そこへ一台の軽自動車がするすると走ってきて、私たちのすぐ横に止まった。農家のおばちゃんが車から降りてきて、「疲れた顔してるから、とってきたばかりの野菜をあげる」と、袋いっぱいのプチトマトとキュウリをくれた。「ありがとうございます!」と大感激。北海道の人は本当に親切だ。今日は帰宅日でカバンの中がすいていたので、ありがたくお土産として持って帰ることにした。ちなみに、トマトはとても甘くキュウリは固くパリパリしていて、普段、スーパーで買うものとは全く違う味だった。すごくおいしかった!

 上川駅をおとずれるのは17年ぶり。駅はきれいに改築されていて、駅前も整備されていた。今日のお昼は簡単に少なかったので、近くのスーパーでやきそばを買って、駅の待合室でおやつとした。
 ここから約45分、各駅停車で北日ノで駅まで輪行した。天気はすっかり回復し、車窓にはそば畑や田んぼが広がっていい眺めだった。

 北日ノ出駅は有名な旭山動物園の最寄駅であり、 石北本線の中では、旭川空港にももっとも近い駅である。当初は動物園に寄って(お盆期間なので、夜まで営業中だった)、動物園からタクシーに乗ろうかと思っていたが、空港までは12キロ程度だし、せっかくだから最後まで走ろうと、空港へ直行することにした。
 空港は北日ノ出駅の真南になるので、右側から強い西日を浴びながら走る。田んぼに伸びる長い影を何枚か写真を撮った。「夏の終わり」を感じさせる光景だった。「ああ、こんな光景を見られるのもまた1年後かあ」としみじみ。最後によい天気に出会えてよかった。

 空港まで走って717キロ。今日も結局100キロ走った。空港では出発まで2時間あったので、ゆっくりと自転車をたたんであずけて、レストランで「8日間お疲れ様」の乾杯でおいしいビールを飲んで、空港の展望デッキで夕焼けを見て、30分遅れの飛行機に乗って帰路についた。
 羽田空港着は22時半。自宅についたのは0時半近かった。長い一日だった。

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